グループホームの開業方法が分かる！費用・資格など成功のための準備とノウハウを徹底解説
最終更新日：2024年09月20日
身体の不自由な高齢者や障がい者の方の生活を支えるグループホームは、社会貢献度の高さや収益の安定性から年々注目度が高まっているビジネスです。一方で、グループホームを開業するためにはさまざまな準備や条件を満たす必要があります。
そこで今回は、グループホームの開業方法に関する情報を徹底的にご紹介します。
費用や資格、申請など必要な準備と流れ、成功のためのノウハウ、そして失敗リスクを抑えられるおすすめのフランチャイズ情報までお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
グループホームとは？種類や役割、将来性など
グループホームの開業準備を始める前に、まずはグループホームとは何かをおさらいしておきましょう。
グループホームは、身体・知的・精神に障がいを抱えた人が支援を受けながら共同生活を送る施設のことです。
主に、認知症の方を対象とした「認知症対応型共同生活介護」と障がい者の方を対象とした「共同生活援助」の2つに分かれていますが、さらに利用者の状況に合わせて4つの種類から選べるようになっています。
では具体的なグループホームの種類や役割、そしてグループホームの現状や将来性について詳しく見ていきましょう。
グループホームの種類
グループホームの役割は、心身に障がいを持った方に
- 入浴や食事、トイレの介護
- 掃除や洗濯、調理などの家事支援
- 日常生活の支援
などのサービスを提供してサポートすることです。
主に4つの種類のグループホームが存在しており、それぞれ対象者や特徴が異なります。
| グループホームの種類 | 対象者 | 特徴 |
|---|---|---|
| 介護サービス包括型 | 身体障害、知的障害、精神障害、難病患者など | グループホームの従業員がサービスを提供する |
| 外部サービス利用型 | 症状が比較的軽い身体障害、知的障害、精神障害、難病患者など | 必要に応じて外部スタッフを手配してサービスを提供する |
| 日中サービス支援型 | 常時介護を必要とする重度障がい者 | 多めの人員を配置して日中もサービスを提供する |
| サテライト型 | 一人暮らしを希望する症状が比較的軽い障がい者 | グループホームの本体と連携を取りながらサービスを提供する |
介護サービス包括型はグループホーム自体が利用者に必要な介護サービスを全て提供する形態で、日常生活の支援からレクリエーションまで一貫して行います。一方、外部サービス利用型はグループホームが基本的な生活支援を提供しつつ、必要に応じて外部からスタッフを派遣してもらって施設を運営するタイプです。
日中サービス支援型は、夜間や休日だけでなく日中も支援を必要としている方を対象としたグループホームで、昼間に外部施設へ通うことを前提に生活を送る形態で、一時的な宿泊利用もできる場合があります。そしてサテライト型は障がい者の一人暮らしを支援する形態で、住宅の近くにあるグループホーム本体と連携を取ってサービスを提供することが特徴です。
利用者の状態やニーズ、地域の福祉サービスの状況などを考慮して、開業するグループホームの種類を選択しましょう。
グループホームの現状や将来性
現在、日本には多くのグループホームがあり、高齢者や障がい者の日常生活を支えています。
厚生労働省が2022年に公表した「高齢者向け住まいの今後の方向性と紹介事業者の役割」によると、2021年時点の認知症高齢者グループホームの施設数は13,721、利用者数は207,200人。施設数と利用者数ともに年々増加傾向にあることが分かりました。
このように多くの人々が自立した生活を送る機会を得ているグループホーム業界ですが、これには齢化の進行や福祉ニーズの多様化など社会的な背景があります。
日本における高齢化は年々深刻化しており、2025年には全人口の約3分の1が65歳以上になると予測されているほどです。これに伴い認知症の高齢者や障がい者の数も増えることから、グループホームのニーズは高まる一方だと言えます。
また、福祉ニーズの多様化もグループホームの市場拡大を後押ししている要因です。高齢者や障がい者、その家族は個々のニーズに合わせた柔軟なケアや生活環境を求めています。そのニーズに応えることができるのが、家庭的な雰囲気のなかで手厚い支援を受けられるグループホームなのです。
さらに、コロナ禍をきっかけに事業の売上が減ったことで新たな事業の立ち上げを考えている人々も増えました。そのような方々にとって国の給付による安定した売り上げと成長の余地を持つグループホームの開業は魅力的なビジネスとなっているため、今後ますます注目を浴びることでしょう。
参照：高齢者向け住まいの今後の方向性と紹介事業者の役割 | 厚生労働省
グループホームを開業する方法
社会貢献性や需要の高まりから、グループホームの開業は多くの独立開業希望者や企業に注目されています。ですがグループホームを開業するには、適切な資金調達をはじめとする準備にしっかりと取り組むことが必要です。
そこでここからは、グループホームを開業する方法を順番に解説していきます。
1.資金を調達する
グループホームの開業において、まず必要な資金を調達することが最初のステップです。
このステップで調達する資金は、施設の購入またはリース費用、内外装工事費用、人件費、広告費用、初期の運営費用などに使用します。後ほど詳しく解説しますが、グループホームの開業に必要な資金は一般的に1,000万円程度と言われています。
グループホーム開業のための資金調達方法は多岐にわたりますが、自己資金のほかに銀行からの借入れや助成金・補助金、投資家などからの出資などが一般的です。
充分な資金を準備できないとグループホームの開業に必要な審査に通らなかったり、無事に開業できたとしても利用者が思うように集まらなければすぐに経営困難に陥ってしまいます。資金調達は簡単ではないことを忘れずに、綿密な資金計画や事業計画を立てた上で資金調達に取り組みましょう。
2.法人を設立する
グループホームの開業には「法人であることが必須」なので、次に法人設立を行います。
すでに法人化された組織でグループホーム事業を始める場合は不要ですが、そうでない場合は下記のような法人の設立が必要です。
- 株式会社
- 合同会社
- 社会福祉法人
- NPO法人
- 一般社団法人
種類によって異なる部分もありますが、法人設立には役員の選任や定款の作成、設立届の提出などの手続きが必要になります。
また、社会福祉法人やNPO法人になる場合は、法務局だけでなく都道府県への届け出も発生するなど法人設立の手続きは複雑なため、不安な方は専門家のアドバイスを受けることが望ましいです。
3.条件（指定基準）を満たす施設を準備する
グループホームとして指定を受けるためには、「人員基準」「設備基準」「運営基準」の3つの条件（指定基準）を満たすことが法律で定められています。
人員基準とはグループホームで働くスタッフの最低人数や資格を定めたもので、利用者の人数によって配置すべきスタッフの人数が異なります。また、一定の割合でケアマネージャー（介護支援専門員）などの専門的な資格を持つ人材が必要とされています。
設備基準とはグループホームの施設が利用者の生活に適しているかを判断する基準で、主な審査項目は施設内の広さやトイレ・浴室などの設備が揃っているかなどです。また、防火設備などの安全面も重視されます。
運営基準とは利用者の生活を支えるためのサービスやプログラムの提供、スタッフの教育、利用者の権利の尊重など、グループホームの運営全般に関する基準です。これらの基準を満たすことで、利用者に適切なサービスを提供することが可能となります。
【グループホームの指定基準】
| 指定基準／グループホームの種類 | 認知症対応型共同生活介護 | 共同生活援助（介護サービス包括型） |
|---|---|---|
| 人員基準 | ・介護従業者…日中：利用者3人に1人（常勤換算）、夜間：ユニットごとに1人 ・計画作成担当者…ユニットごとに1人 （最低1人は介護支援専門員） ※ユニット間の兼務は不可 ・管理者…3年以上認知症の介護従事経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了した者（常勤専従） |
・サービス管理責任者…30：１以上 ・世話人…6：1以上（4：1～6：1） ・生活支援員…障害支援区分に応じて2.5：1～9：1以上 |
| 設備基準 | ・住宅地などに立地 ・居室の広さは7.43㎡ （和室4.5畳）以上で原則個室 ・そのほか、居間や食堂、居間、台所、浴室、消火設備、非常災害に際して必要な設備の設置 |
・利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域かつ入所施設または病院の敷地外に立地 ・居室面積は収納設備を除いて7.43㎡ |
| 運営基準 | ・運営推進会議の設置 ※利用者や家族、地域住民、外部有識者まなどから構成 ※外部の視点で運営を評価 ・外部評価の実施 ・定期的に避難、救出訓練を実施して、地域住民の参加が得られるよう努めること |
・介護の提供 ・家事などの実施の方法 ・居宅介護などの利用の制限 ・社会生活上の便宜の供与 |
※ユニット…個室や居間、台所などで構成される生活空間のこと。5～9人以下を1ユニットとし、1事業者2ユニット（18人）までと定められている。
参照：認知症対応型共同生活介護 | 厚生労働省
参照：グループホームの概要 | 厚生労働省
4.事業者指定を受ける
指定基準を満たす施設が準備できたら、グループホーム事業者としての指定を受ける手続きが必要です。事業者指定を受けることで国からの給付を受け取ることが可能になり、公的な認定を受けた信頼性の高い福祉サービス提供者と認識されて利用者からの信頼も得られます。
グループホームの事業者指定の申請では、指定申請書や事業計画書の提出をはじめ施設の設備基準の確認、運営の方針などを確認するための審査が行われます。申請書類の準備から申請、そして審査までには数ヵ月の時間がかかることもあるので、余裕をもって計画を進めることが重要です。
また、法令改正などによる制度の変更も常に確認しておくことが重要で、これにより迅速かつ適切な準備が可能になります。
グループホームの開業に必要な資格
グループホームの開業自体は資格を持っていなくても可能ですが、先述したように事業者指定を受けるには定められた人員基準を満たす必要があり、適切な資格保有者の採用が必要になります。
主な資格とその取得方法については以下の通りです。
- ケアマネージャー（介護支援専門員）：グループホームのユニットごとに配置が必要な資格。試験の合格と実務研修の受講・修了が必要。
- 社会福祉士：福祉の相談援助を行う専門職で、グループホームの運営に欠かせない資格の一つ。取得には専門学校への通学や国家試験の合格が必要。
- 介護福祉士：介護保険サービスの提供者として必要な資格。専門学校での学習や実務経験を経た後、国家試験の合格が必要。
- 作業療法士・理学療法士・言語聴覚士：身体機能や言語機能の訓練をサポートするために必要な資格。指定の学校や養成所を卒業後、国家資格の合格が必要。
- 看護師：医療的なケアを提供するために必要な資格。看護学校や看護専門学校での学習と国家試験の合格が必要。
グループホームの開業において必須ではない資格もありますが、資格があることで信頼性が増してより多くの利用者を集めることが可能になるので、その点も考慮した人材採用をおすすめします。
グループホームの開業に必要な費用
グループホームの開業には、開業前に発生する初期費用と開業後の運営資金が必要です。
それぞれどのような費用がどのくらい必要なのかを解説します。
開業資金（初期費用）
グループホームの開業には、物件取得費や内外装工事費、人件費、法人設立費、広告宣伝費など、さまざまな初期費用が必要です。
物件の規模や地域、施設の設備などによって変わりますが、大まかな目安としては1,000万円前後と考えておくと良いでしょう。また、新規にグループホーム事業を始める場合やすでに障がい者支援施設などを運営している場合でも変動するので事前にしっかり確認しておくことが大事です。
グループホームの開業には大きな初期費用が必要ですが、物件選びで新築ではなく中古物件を選んだり、内装工事は最低限の改装に留めたりするといった工夫によって抑えることができます。また、人件費については開業初期の段階ではスタッフの人数を最低限に抑える、自らが介護業務を行うなどによってコストを抑えることが可能です。
運営資金（ランニングコスト）
グループホームの運営資金には、家賃や水道光熱費、人件費、広告宣伝費などが含まれます。運営資金の目安としては月額数百万円程度と考えておくと良いでしょう。
人材が必要不可欠かつ有資格者の雇用も必要なビジネスなので、特に人件費の負担が大きくなる傾向にあります。正社員やアルバイト・パートなど雇用形態のバランスを考えた採用をはじめ、労働時間や業務の効率化を図ることなどが重要です。
また、家賃は物件選びの段階でしっかりと交渉を行う、水道光熱費はエネルギーの効率的な使用を心がけることなどの努力も必要だと言えます。
グループホームの開業資金を調達する方法
グループホームの開業資金を調達する方法としては、自己資金をはじめ融資や助成金・補助金、クラウドファンディングなどの活用が挙げられます。
融資は、金融機関を利用することが一般的です。メガバンクや地方銀行より、政府系の金融機関「日本政策金融公庫」のほうが審査ハードルが低く、無利子・無担保で融資を受けられる可能性もあります。
国や地方自治体からの助成金・補助金を活用することも一つの手段です。具体的な内容は地域や時期によりますので、各地方自治体のホームページなどを確認しましょう。
クラウドファンディングは、インターネットを通じて資金を集める方法です。不特定多数から投資してもらえる方法ですが、魅力的なビジネスプランを提案する必要があります。
いずれの方法もそれぞれメリット、デメリットがあるので、グループホーム開業の計画に合わせて最適な方法を選択しましょう。
グループホームの開業を成功させるためのノウハウ
グループホームの開業は資金調達や法人設立だけでなく、成功させるためのノウハウが必要です。
こちらでは、最低限抑えておきたい3つの要素をご紹介します。
経営者としての知識やスキル
グループホームの開業を成功させるためには、準備に関する知識だけでなく法律知識や経営学、福祉学といった広範な知識が必要です。また、マネジメントスキルやリーダーシップも欠かせません。
これらの知識やスキルは独学で習得するには限界があるので、経営セミナーの参加や専門書の学習、福祉系の大学院や短期大学での学びなどが有効です。
利用者を集められる集客力
次に必要なのは、利用者を集められる集客力です。
高齢化に伴い需要が増えているとは言え、グループホームを開業すれば自然に利用者が集まるということはほとんどありません。
そのため、グループホームの対象者を明確化するほか、ほかの施設との差別化や広告・宣伝活動などの集客戦略が必要になります。デジタルマーケティングの活用も有効で、自社のWebサイトの整備やSNSでの情報発信は、広範囲にサービスを伝えるための重要な手段です。
また、地域や付近の病院・学校、ソーシャルワーカーとの連携、口コミを通じた集客、リピート利用者の増加につながるサービスの提供も視野に入れておくと良いでしょう。
スタッフの教育と適切な人材配置
スタッフの教育は、グループホームで提供するサービスの質を保つために欠かせません。グループホームでは利用者に対するサービスの質が直接ビジネスの成果に影響を与えるので、スタッフの教育に力を入れることが成功に大きく影響します。
具体的な業務内容だけでなく、福祉の理念や利用者の尊重など、共有すべき価値観を教えることが大切です。また、各スタッフの特性やスキルを見極めて適切な人材配置を行うことで、より効率的な運営が可能となります。
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グループホーム開業のメリット・デメリット
グループホームの開業は社会貢献と経済的な利益を両立できるビジネスモデルですが、同時にデメリットや困難な側面も存在します。
こちらでは、主なメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
グループホームの開業は、高齢者や障害者へのサポートという形で社会貢献ができる点が最大のメリットです。また、高齢化社会が進むなか需要は増えており、安定した収益源となり得ます。
また、適切な経営戦略と集客力を持つことで、地域に密着した事業として安定した収益を上げ続けることも可能です。地域との連携を深める、サービスの差別化を図る、適切なPRを行うなどによってこれらのメリットを最大化することができるでしょう。
デメリット
一方、初期投資が大きく、人件費もかさむというデメリットもあります。また、高齢者や障害者へのケアを行うための法規制も厳しく、これらをクリアすることが開業への大きなハードルとなります。しかし、これらのデメリットを理解し、適切な対策を立てることでリスクを抑えることが可能です。
一方で、グループホーム開業にはデメリットもあります。初期投資が大きいことや人件費の高さ、法規制の厳しさなどです。
特に初期費用は施設の建設や改装費用、設備の導入費用、人件費など、多額の資金が必要となります。
資金面のデメリットは、公的な助成金・補助金制度を活用するなどして資金調達をすることで解消される可能性があるでしょう。また、法規制に対する理解を深めて適切に対応するための専門的な知識を身につけることも重要です。
グループホームを開業するならフランチャイズがおすすめ
グループホームの開業はフランチャイズ制度を利用すれば確立されたブランド力や運営ノウハウを活用できるので、開業のリスクを軽減することが可能です。
最後に、グループホームの開業におすすめのフランチャイズをご紹介します。
障がい者グループホーム『はぐくみ住まい』
『はぐくみ住まい』は、全国110社以上の福祉事業のコンサルティングを手掛ける本部が展開しているグループホームのフランチャイズで、豊富な運営ノウハウと充実したサポート体制が特徴です。
入居者を獲得するための営業サポートなど、他社にはない強みでオーナーを成功へと導きます。業界最安値の開業資金でありながら、年間利益1,600万円以上を狙えるのも魅力です。
ペット共生型障がい者グループホームわおん
『ペット共生型障がい者グループホームわおん』は、ペットと共生することで障がい者の方々のQOL（Quality of Life）の向上を目指すユニークなビジネスモデルを提供しているフランチャイズです。
他社との差別化が図りやすい独自のビジネスモデルと、手厚いサポート体制を強みとしています。生活介護（障がい者デイサービス）や日中サービス支援型障がい者グループホームとの組み合わせによる、さらなる収益向上も実現可能です。
グループホーム開業のまとめ
高齢者や障がい者の生活を支える社会的な役割と安定したビジネスモデルを兼ね備えたグループホーム開業は、非常に魅力的なビジネスと言えます。
ですが、法規制の厳しさをはじめ高額な初期費用や人件費などのデメリットがあることも事実。これらの課題に対する理解と、それを解決するための策を準備しておくことが、グループホーム開業の成功への重要なステップとなります。
また、フランチャイズ制度の活用はグループホーム開業のリスクを軽減し、成功につながる可能性を高める有効な手段です。特に、今回ご紹介した本部のように実績や経験豊富なフランチャイズのサポートは、開業をよりスムーズに進めるための大きな力となるでしょう。
社会貢献とビジネス成功を両立させるための一歩を、ぜひ踏み出してみてください。
成功を掴めるチャンス！
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公開日：2023年07月04日
