居酒屋フランチャイズの開業・運営に必要な資金とは
最終更新日:2020年05月11日
居酒屋フランチャイズの開業は未経験者でも挑戦しやすく、さまざまな企業がサポートを行っています。
ですが、その契約内容はフランチャイズによって多種多様であり、費用も大きく異なります。
こちらでは、そんな居酒屋フランチャイズの開業・運営に必要な資金について解説していますので、居酒屋のフランチャイズに興味のある方はぜひご覧ください。
目次
居酒屋フランチャイズ開業と運営に必要な資金の目安
居酒屋をフランチャイズで開業するためには、2,000万円以上の資金が必要です。
この資金は開業時の初期費用と開業してからの運営資金3ヵ月分を合算した費用ですが、実際はフランチャイズ本部によって大きく異なり、数百万円ほどの自己資金にて開業を支援しているところもあります。
具体的な目安を知りたい方は、まずは各本部が提示している目安を確認してみるのも良いでしょう。
<開業資金(初期費用)の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
加盟金 | 300万円 |
店舗関連費 (物件取得費・内装工事費・設備費など) |
1000万円 |
保証金 | 100万円 |
資格取得 | 2万円 |
研修費 | 50万円 |
合計 | 1,452万円 |
<運営資金の目安 ※3ヵ月分用意した場合>
項目 | 金額 |
---|---|
人件費 | 450万円 |
賃貸料 | 150万円 |
原材料 | 450万円 |
ロイヤリティ | 45万円 |
合計 | 1,095万円 |
※売上は月間500万円として仮定し、各項目を計算しています。
以下で一つずつ解説していきますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
居酒屋フランチャイズ開業に必要な資金(初期費用)
フランチャイズで居酒屋を開業する際には、加盟金や店舗関連費、保証金、研修費などさまざまな費用が発生します。
特に大きな費用を占めるのが店舗関連費ですが、もともと居酒屋として使われていた物件を利用することで費用は抑えられるため、初期費用は加盟するフランチャイズ本部によって数千万円ほどの差が生じることもあります。
こちらでは、目安として一つずつ詳細を解説していくので、各項目ごとの費用の相場を確認して自分に合う開業方法を選んでいきましょう。
加盟金
加盟金は各フランチャイズ本部のノウハウ提供やブランド使用にかかる料金です。
居酒屋のフランチャイズも例外ではなく、100~500万円程度の加盟金が必要となります。
この加盟金は決して安いものではありませんが、メニュー開発の手間を削減できたり、ブランドの知名度を利用できたりといったメリットもあります。
店舗関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)
店舗関連費はフランチャイズ本部によって大きく変動します。
例えば物件取得や内装・外装、厨房機器の設置などを一から行うことで2,000万円以上かかるところもあれば、什器等の備品も含めて500万円以下の出費で済むところもあります。
また、設備をそのまま利用できる居抜き店舗を選択したり、既存店を引き継ぐプランにしたりすることで、費用をさらに抑えることも可能です。
保証金
保証金は、加盟する本部に支払うものと物件を借りる際に支払うものの2種類があります。
前者は50~100万円ほどで設定しているところが多く、なかには食材保証金として仕入れ見込みの数ヵ月分を保証金として用意する必要があるところもあります。
また、物件を借りる際の保証金は、賃貸料の6~12ヵ月分ほどです。
こちらも物件やフランチャイズ本部によって大きく異なるため、事前に確認しておくようにしましょう。
資格取得
居酒屋を開業するにあたって必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」 です。
「調理師も取得するべき?」と考える方もいますが、フランチャイズの開業や実際の運営においては特に必要とされていません。
また、費用は発生しませんが、食品営業許可や深夜に酒類を提供する際の届け出、火を使用する設備に関する届け出などさまざまな手続きが必要となるため、忘れずに申請するようにしましょう。
食品衛生責任者資格
講習時間(試験込) | ・衛生法規:2時間 ・公衆衛生学:1時間 ・食品衛生学:3時間 |
受講料 | 10,000円 |
※東京都の場合
食品衛生責任者は食中毒の予防についても範囲に含まれており、多様な食材を取り使う居酒屋においては不可欠な資格です。
資格取得に向けた講習は各都道府県で実施されているため、お住まいの地域の情報を確認するようにしてください。
また、栄養士や調理師の免許をお持ちであれば、講習を受けることなく資格を得ることができます。
防火管理者資格
種類 | 講習時間 | 受講料 |
---|---|---|
甲種 | 10時間(2日間) | 7,500円 |
乙種 | 5時間 | 6,500円 |
防火管理者の資格には甲種と乙種があり、建物の面積によって受ける講習が変わります。
基準は300㎡を超えるかどうかなので、自分の店舗の大きさによって適したほうを受講しておきましょう。
研修費
フランチャイズで居酒屋を開業する場合、経営ノウハウや接客方法に関する研修を1ヵ月~3ヵ月ほど受けることとなります。
この研修のためにかかる費用は各フランチャイズ本部によって20~150万円と大きな差があり、その研修内容もそれぞれ独自性があります。
実際に実施される研修内容が費用と見合っているかどうかも確認した上で本部を決定するのもおすすめです。
居酒屋フランチャイズに必要な運営資金
他のフランチャイズと同様に居酒屋フランチャイズでもさまざまな運営資金がかかってきます。
その主な項目は下記の通りです。
- 人件費
- 賃貸料
- 原材料
- ロイヤリティ
居酒屋のような飲食業では、特に人件費と原材料費の割合が大きくなりがちです。
実際のどのくらいの割合が望ましいのか、一つひとつ確認していきましょう。
人件費
居酒屋に限らず、飲食店全般の基準として人件費は売り上げの30%程度と考えられています。
ただし店舗の作り(個室風や配膳の導線など)によっては人員の増員が必要となり、売り上げの40%ほどを占めるケースもあります。
居酒屋の場合は各テーブルに呼び鈴を設置したりiPadによるオーダーシステムを導入したりすることで人件費の削減を目指すことも可能ですが、人員を減らしすぎることで業務量が増え、従業員の不満が高まる可能性もあります。
そうなると退職と採用を繰り返すことになり、かえって人件費がかさむことにもなるため、現場の状況を把握しながらバランスを見て人員配置を行いましょう。
賃貸料
坪数や立地によって大きく変わりますが、賃貸料は売り上げの10%以内が健全だと言われています。
おおよそ3日間の売り上げ目標を目安に物件を選ぶと良いでしょう。
原材料(原価率)
居酒屋の原材料(原価率)の目安は30%です。
とはいえ、居酒屋は原価の安いおつまみ系から原価の高いお造り系までメニューが多岐に渡ります。
フランチャイズでは本部によって価格設定されていますが、キャンペーンなどで独自性が打ち出せるところに加盟するのであれば、コース料理などでメニュー全体のバランスを取るのもよいでしょう。
また、居酒屋の場合はドリンクで原価を抑えることもできますが、人気の高い生ビールは1杯あたり150円と原価が高めです。
ですが一方でハイボールやサワー、カクテルは原価30~100円ほどと比較的安いので、こちらを中心とした飲み放題プランを作成するのもおすすめです。
ロイヤリティ
ロイヤリティとは、フランチャイズ本部に毎月支払う費用です。
居酒屋フランチャイズの多くは、ロイヤリティを売り上げの3~5%程度に設定していますが、このロイヤリティは人件費や材料費にかかった費用を引く前の「総売り上げ」に対する比率です。
なかには固定で30万円と定めているところもあるので、どちらがより自身に適切かを検討した上で加盟店を決めるようにしましょう。
居酒屋フランチャイズのキャッシュフローシミュレーション
加盟する居酒屋フランチャイズによって費用は大きく異なりますが、基本的な月間キャッシュフローシミュレーションは以下の通りです。
(必ずしも当てはまるわけではないので参考程度にしておいてください。)
今回は、1ヵ月あたりの売上高が500万円の店舗をモデルに算出しています。
総粗利益高
185万円
=500万円(売上高)-315万円(原価・人件費は各30%・ロイヤリティを3%とした場合)店利益
45万円
=185万円-50万円(賃貸料10%)-90万円(水道光熱費7%、消耗品費3%、雑費8%)
このように、居酒屋の場合は原価・人件費が大きな割合を占めています。
今回は一例として共に30%で計算していますが、人件費が40%になるだけでも赤字となり、結果的に利益を得られないこととなるでしょう。
居酒屋は、コース料理を増やしたりクーポンを工夫したりすることでさまざまな客層のニーズに応えることもできます。
いずれにせよフランチャイズ本部の扱う商品や業態、自由度の確認を慎重に行う必要があるので、各本部の詳しい資料などを参考に加盟店の検討を進めてください。
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公開日:2020年03月16日