ダイニングバーの開業に必要な準備と流れを解説!資金や資格・届出、成功のポイントなど
最終更新日:2024年09月20日
利益率や客単価の高さから人気を集めているバーの開業ですが、お酒だけでなく食事も一緒に楽しめるダイニングバーを始めたいという方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、ダイニングバーの開業に必要な準備とその流れを徹底的にまとめました。必要な資金の具体的な金額と調達方法、資格・届け、成功させるためのポイントなどを解説します。ダイニングバーの基礎知識や気になる年収の目安もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ダイニングバーを成功させるにはフランチャイズ開業もおすすめ!
ダイニングバーとは?開業したら儲かる?
そもそもダイニングバーとはどんなバーのことを指しているのか、また開業したら収益を上げることは可能なのか気になっている方も多いことでしょう。
そこでまずはじめに、ダイニングバーの特徴や種類、ダイニングバーオーナーの年収について解説していきます。
ダイニングバーの特徴や種類
ダイニングバーは、お酒だけでなく豊富な食事メニューも楽しめるお店のことです。
ダイニングバーと一言で言ってもいくつもの種類に分かれており、カジュアルなスタイルから高級志向のものまでさまざまです。たとえば、ワインに特化したバーや世界各国のビールを取り扱うビアバー、西洋の料理を中心に提供するバーまであります。
ダイニングバーと似た形態で居酒屋がありますが、果たしてこの二つに違いはあるのでしょうか。ダイニングバーはやはりバーとしての機能が強く、個々のお客様や少人数のグループに対してより高度なサービスや上質な空間を提供している点で違うと言えます。
また、ITmediaビジネスオンラインが調査した「2022年出店したい業態ランキング」によると、ダイニングバーは開業したいお店の中で1位を獲得していることが分かっています。ビジネスとしても注目度の高い業種である一方で、競争が激しい業界であるとも言えるでしょう。
参照:出店したい飲食店のジャンル 3位「バー」、2位「カフェ」、1位は? | ITmedia ビジネスオンライン
ダイニングバーオーナーの年収目安
お酒と食事の両方を提供するダイニングバーは、お酒をメインに提供するほかのバーと比べて売り上げの元となる要素が多く、経営方法次第では儲かるビジネスです。
店舗の立地や規模などによっても異なりますが、ダイニングバーオーナーの平均的な年収は約300~500万円とも言われています。ただし、年収は店舗の売上高や原価率、人件費、固定費などに大きく影響され、なかには1,000万円以上の年収を得ているオーナーがいるのも事実です。
収益を最大化するためには、食材や人件費などのコストをしっかり管理することや集客力を高めるマーケティング戦略を考えることなど、日々の努力が欠かせないでしょう。
ダイニングバーの開業に必要な資金
ダイニングバーを開業する際に必要な資金はいくらくらいなのか、またその内訳は何かを理解することは成功のための重要なステップです。
こちらでは、開業資金(初期費用)と運営資金に分けてご紹介します。
開業資金(初期費用)
ダイニングバーの開業に必要な初期費用は、一般的に約1,000~4,000万円とされています。ただし、店舗の立地や設備投資などによって変動するため、これはあくまで一例です。
主な内訳は、
- 物件取得費
- 内外装工事費
- 設備導入費
- 仕入費
- 広告宣伝費
などです。
まずダイニングバーを始める上で店舗が必要なため、物件を探すことになります。購入または借りる方法がありますが、ダイニングバーの場合は借りるケースが多いのではないでしょうか。物件取得費には保証金や仲介手数料、敷金・礼金、初回の家賃などが含まれており、物件の立地や広さにもよりますが数百万円程度はかかると想定しておいたほうが良さそうです。
物件を手配したら内外装工事をする必要があり、この費用はスケルトン物件か居抜き物件かによって費用が大きく変わります。スケルトン物件は何もない状態からダイニングバー仕様にしていかなければいけないのでその分費用がかさみますが、内装や設備などが残っている状態の居抜き物件であれば工事費を抑えやすいです。
ダイニングバーの開業資金で特に大きな割合を占めるのがこの物件取得費と内外装工事費なので、事前にしっかり計画を立てて準備を進めるようにしましょう。
運営資金
ダイニングバーを開業する際には、初期費用だけでなく運営資金も含めて準備をしておくことが大事です。
初期費用と同じく店舗の規模などによっても変わりますが、ダイニングバーの運営資金の目安は1ヵ月あたり500万円程度と想定されます。
具体的には、
- 家賃
- 仕入費
- 人件費
- 水道光熱費
- 消耗品費
- 通信費
- 広告宣伝費
などが内訳となっています。
特に開業直後は売上が安定しない期間があるので、開業後数ヵ月分の運営資金を準備しておくと安心です。
ダイニングバーの開業に必要な資金の調達方法
ダイニングバーに限らず、開業資金は全て自己資金で賄うのが理想的ですが、現実には困難なケースも多いでしょう。
そこで、次に挙げるような方法を活用して資金を調達することも検討してみてください。
- 金融機関からの融資
- 助成金・補助金の利用
- クラウドファンディング
金融機関からの融資では、中小企業向けの融資制度や創業支援制度を利用することができます。たとえば、政策金融機関である日本政策金融公庫の「新創業融資制度」もその一つ。都市・地方銀行より審査ハードルが低めで、初めての独立開業でも利用しやすいです。
また、地方自治体や国が提供している助成金・補助金制度を利用することもできます。各自治体によって対象となる費用や受給条件などが異なるので、事前にホームページなどで確認してみてください。
ほかにも、不特定多数の人から投資してもらうクラウドファンディングという方法もあります。魅力的なビジネスであることをアピールする必要があるので、綿密なビジネスプランの作成が必要です。
それぞれのメリット・デメリットをしっかり把握した上で最適な資金調達方法を選びましょう。
ダイニングバーの開業に必要な資格・届出
ダイニングバーを開業する際にバーテンダーや調理師などの資格は不要ですが、特定の資格や届出が必要になります。
主に必要なのは、
- 食品衛生法に基づく営業許可
- 深夜酒類提供飲食店営業の届出
- 防火管理者選任届
です。以下でそれぞれ解説します。
食品衛生法に基づく営業許可
ダイニングバーを開業するためには、まず食品衛生法に基づく営業許可が必要です。
許可を得るためには店舗ごとに食品衛生責任者を置くことが定められており、調理師や栄養士などの国家資格を持っていない場合は「食品衛生責任者の資格」を取得しなければなりません。資格は食品衛生協会が実施している講習会を受講することで取得可能です。
食品衛生責任者が決まれば、ダイニングバーを開業するエリアを管轄している保健所に営業許可の申請ができます。営業許可は原則として5年ごとに更新が必要で、定期的な衛生状態のチェックや講習の受講などが求められることも覚えておきましょう。
深夜酒類提供飲食店営業の届出
深夜(0時~6時)に営業して酒類を提供するダイニングバーを開業する場合には、「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。
以下のような書類を準備して、最寄りの警察署に届け出ます。
- 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
- 営業の方法
- 店舗の図面
- 住民票(本籍地が記載されているもの)
「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」と「営業の方法」に関しては、警視庁HPからダウンロード可能です。
ダイニングバーを開業する地域や届け出た警察署によっては、追加で書類の提出を求められる場合もあります。事前に確認してから準備をすすめると効率的でしょう。
防火管理者選任届
また、収容人数が30人を超える広さのダイニングバーを開業する場合には防火管理者の選任と届出が必要になります。
防火管理者は、次の条件を満たす人物から選任することが可能です。
- 防火管理業務を適切に遂行することができる管理的、監督的地位にあること
- 防火管理講習修了者や学識経験者など、防火管理上必要な知識・技能を有していること
基本的には、「防火管理講習」を受講して課程を修了することで資格を取得できます。全ての防火対象物で選任できる「甲種」と比較的小規模な防火対象物に限られる「乙種」の二種類の講習があるので、自身のダイニングバーに合った講習を受けるようにしましょう。
防火管理者は火災の予防や火災発生時の初期対応など、店舗の安全を守るための重要な役割を果たし、火災予防のための日々のチェックや定期的な防火訓練の実施などが求められます。
ダイニングバーの開業の流れ
ここからは、ダイニングバーを開業する際の具体的な流れを紹介します。
一つ一つのステップを丁寧に踏んでいくことで開業のリスクを最小化し、成功に近づくことが可能です。
1.コンセプトと事業計画の作成
ダイニングバー開業の最初のステップは、ビジネスコンセプトを決めることと事業計画の作成です。
コンセプトはビジネスの軸になるもので、これが明確になることで提供するメニューやサービス、お店の雰囲気などが決まります。たとえば、家庭的な料理を提供する、地元の食材にこだわる、音楽を楽しめる場所を提供するなど、具体的なコンセプトを定めることが大切です。魅力的かつ競合店と差別化できるようなコンセプトを考えましょう。
事業計画は、コンセプトを具現化するために作るものです。市場分析や財務予測、マーケティング戦略などを具体的に書き出すことで、スムーズな店舗運営が可能になります。
2.物件探し
次に物件探しを行います。立地条件はダイニングバーの成功に大きく影響するので、慎重に検討する必要があります。
ダイニングバーの開業における好立地の条件は、人通りの多い場所やターゲットとする客層が多く訪れる地域です。繁華街や商業施設近く、交通の便が良い場所など選択肢もさまざまなので、開業エリアのニーズを調べた上で決めるようにしましょう。
また、店舗の広さや賃料、導入できる設備なども重要な要素です。物件探しは時間と労力がかかる作業なので、早めに始めてじっくりと選ぶことをおすすめします。
3.開業資金の調達
ダイニングバーの開業には大きな資金が必要です。
物件の賃料や改装費用、設備投資、原材料費、人件費など、さまざまな費用が必要となります。具体的な金額は店舗の規模やコンセプトによりますが、開業資金は事前にしっかりと計画し、必要な資金を調達することが重要です。
資金調達の方法としては、先述したように自己資金をはじめ、金融機関からの融資、助成金・補助金制度の利用、クラウドファンディングなどがあります。
また、適切な資金管理はビジネスの成功を左右する重要な要素なので、事業計画に基づいてしっかり管理していきましょう。
4.内外装工事や設備導入など
開業資金の目処がついたら、内外装工事や設備の導入を行います。
店舗の印象を決定し、ゲストの体験を向上させる重要な要素なので、時間とコストを考慮した上で計画的に進めてください。
具体的には、店内のレイアウトや照明、壁紙、床材、家具などを決めます。ダイニングバーの開業に必要な設備として挙げられるのは、厨房設備(オーブン、ガスレンジ、冷蔵庫など)やバーカウンター、POSシステム、音響設備などです。
予算内に収まるように工事や設備選びを行うことも大事ですが、開業後にメンテナンスや修繕が必要になる可能性を考慮することも忘れてはいけません。
5.資格・許可の取得
先ほどご紹介しましたが、ダイニングバーの開業には食品衛生法に基づく営業許可や酒類提供許可、防火管理者の選任など、さまざまな資格と許可が必要です。
店舗の運営を法的に可能にし、顧客に対して信頼性を示すものなので、丁寧な準備が欠かせません。
資格・許可の取得プロセスはダイニングバーを開業する地域の自治体などによって異なる部分もありますが、通常は衛生管理や店舗の設備、立地などの審査が行われます。申請書類の正確な記入や必要な書類の準備、審査のための要件を満たす店舗づくりなど、万全に準備した上で申請をするようにしましょう。
それぞれの取得には時間と費用がかかるので、早めに準備にとりかかることをおすすめします。
6.仕入先の決定
ダイニングバー開業において、仕入先の選定は非常に重要です。質の高いお酒や食材を安定的に提供できるかどうかで、お店の評判が決まるからです。
良い仕入先を見つけるための基準としては、品質、価格、配送の信頼性、取引条件などがあります。また、仕入れ先との長期契約や協定を結ぶことで、供給の安定性を確保することも重要です。
信頼できる仕入先との良好な関係構築に努めることも大事だと言えます。
7.採用・集客のための宣伝
ダイニングバー開業には、優秀なスタッフの採用が不可欠です。スタッフはお店の顔となり、顧客に対するサービスの品質が決まると言っても過言ではないので、面接では接客スキルや調理技術だけでなく、人柄やモチベーションも確認するようにしましょう。
また、開業前からの集客活動は初日からの売上を確保し、早期のブランド認知を高めるために不可欠です。SNSやWebサイトを活用した情報発信、地元メディアへのリリース発信、オープン前のプレイベントなど、さまざまな手法を用いて集客策に取り組むことが求められます。
ダイニングバーの魅力を伝え、お客様が来店したくなるような情報を提供しましょう。
これらのステップを踏むことで、ダイニングバーを開業することができます。悩んだときには専門家に相談しながら進めていくことも一つの方法です。
ダイニングバーの開業を成功させるためのポイント
ダイニングバーの開業は、さまざまな要素が重なり合うことで成功を掴むことができます。
どのような要素が大事なのかを事前に把握して、持続的な経営につなげましょう。
独自性のあるコンセプト
ダイニングバー開業の成功を左右する最も重要な要素が、独自性のあるコンセプトです。コンセプトは店舗の魅力を一言で伝えるためのもので、競争力の源となります。
コンセプト作りにおいては、「まず自分が何を提供したいのか」と「誰に提供したいのか」を明確にすることが重要です。
また、競合他店と差別化を図るために独自のサービスやメニュー、空間づくりにも工夫が必要。たとえば、地元の食材を活用したメニューや、アーティストとのコラボレーションによる店内デザインなどが挙げられます。
徹底したコスト管理
ダイニングバーの開業において、徹底したコスト管理が収益性に大きく影響します。
仕入コストをはじめ、賃料や人件費などのランニングコストを常に把握し、無駄な出費を排除することが重要です。
効率的なコスト管理のためには、定期的な売上分析や予算管理、在庫管理などを行い、不要なコストを削減していくことが求められます。具体的には、仕入先との長期契約による価格交渉やエネルギー効率の良い機器の導入、効率的な人員配置などが効果的です。
リピーター獲得のための工夫
リピーターを獲得することは、ダイニングバーの経営において非常に重要です。
リピーターを増やすことで安定した売上を確保し、口コミによる新規顧客の獲得にもつながります。リピーター獲得のためには、質の高いお酒や料理、サービスの提供はもちろん、定期的なイベントの開催やメンバーシップ制度の導入、SNSを用いた情報発信などが有効です。
また、個々の顧客に対する丁寧な接客により、顧客が特別感を持てるよう工夫することも大事だと言えます。
ダイニングバーと同じ業種で開業した経験者の話も参考に!
大企業部長が飲食店開業!45歳で安定を手放し「居酒屋の経営」で脱サラ&独立
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ダイニングバーを成功させるにはフランチャイズ開業もおすすめ!
成功するダイニングバーを開業する方法として、フランチャイズ開業が有力な選択肢の一つです。フランチャイズとは、既存の成功したビジネスモデルを利用して開業することで、独自に立ち上げる方法と比較して初期投資やリスクを抑えられるというメリットがあります。
そこで最後に、ダイニングバーに似たバーや居酒屋でおすすめのフランチャイズをご紹介します。
お酒の美術館
『お酒の美術館』は、全国のコンビニのイートインスペースを活用したバーを開業できるフランチャイズ本部です。大手コンビニチェーンとの提携によって、日本初のコンビニバーを誕生させました。
独自の仕入ルートを確立しており、希少なお酒を格安で提供しながら高い利益率を実現することが可能。開業前後の本部サポートも充実しており、未経験者で始めてもしっかり稼ぐことができます。
酒場伸輔
『酒場伸輔』は、簡単なオペレーションと高収益が可能なビジネスモデルが強みの居酒屋フランチャイズです。サッポロビール社との共同開発によって生まれた居酒屋で、抜群のブランド力を誇ります。
広告運営代行や研修制度など、未経験者でも安心してチャレンジできるサポート体制も魅力の一つです。自社工場の活用により、高品質を保ちつつ利益率の向上にも貢献。月商500万円も目指せる飲食ビジネスです。
ダイニングバー開業のまとめ
ダイニングバーを開業するための準備や流れ、そして成功のためのポイントをご紹介しました。
- 独自性のあるコンセプト作り
- 徹底したコスト管理
- リピーター獲得のための工夫
を念頭に、ダイニングバーの開業に取り組んでみてください。
また、自分1人で開業するだけではなく、フランチャイズ開業も一つの選択肢としておすすめです。フランチャイズならすでに成功を収めているビジネスモデルをもとにリスクを抑えて開業できる上に、成功率も格段に上がります。
ダイニングバーの開業はさまざまな困難が伴うかもしれませんが、それは同時に大きなチャンスでもあります。自分だけの店舗を開業し、お客様に喜ばれるサービスを提供する喜びは何ものにも代えがたいものです。
こちらの記事で学んだ知識を活かして、ぜひ挑戦してみてください。
ダイニングバーの開業に関する記事
公開日:2023年07月18日