フランチャイズのロイヤリティとは?種類や業種別にみる相場・適正価格とは?
最終更新日:2024年09月20日
フランチャイズのロイヤリティについて調べていて「ロイヤルティ」という一文字違いの言葉を目にしたことはありませんか?
よく似た言葉ですが「ロイヤリティ」と「ロイヤルティ」では意味が異なる場合があります。
今回は
- ロイヤリティとロイヤルティの違い
- ロイヤリティとは何か?
- ロイヤリティの適切な割合
など、代表的な計算方法・業種別の率や相場をもとにロイヤリティについて知っておきたい基礎情報を紹介していきます。
目次
「ロイヤリティ」と「ロイヤルティ」の違いとは
「ロイヤリティ(Royalty)」とは著作権・商標権などの権利使用料という意味を表します。権利者に対して支払うライセンス料や著作権使用料がロイヤリティに当たります。
一方「ロイヤルティ(Loyalty)」とは「忠実」「忠誠」「義理」というような意味です。
主にブランド・店舗・サービスなどに対する愛着心やこだわりを表すマーケティング用語で用いられます。
例えば、同じ店舗で継続的に商品を購入してくれるリピーターが多い、良い口コミが多く人気度が高いなど、その店舗の信頼度や愛着度を表す言葉として「このお店はロイヤルティが高い」といったような使い方をします。
フランチャイズでは使用料のことを「ロイヤリティ」と表記するのが一般的ですが、一部のフランチャイズ本部では「ロイヤルティ」と表記されている場合もあります。意味合いは「ロイヤリティ」と同じと考えて問題ないでしょう。
「ロイヤリティ」と「ロイヤルティ」の言葉の違いでは判断がしにくいので、使われているシーンでどちらのことを言っているか判断するのが確実です。
フランチャイズで使う「ロイヤリティ」
フランチャイズ業界で使う「ロイヤリティ」とは、本部(フランチャイザー)の知名度、ブランドイメージ、ノウハウを利用する代わりに、加盟店(フランチャイジー)が本部に対して支払うお金のことを指します。
有名ブランドの看板をつけたお店は、何もないお店に比べて「信用度」が高く、「集客力」が強いです。当然売り上げも変わってきますよね。そのブランド力や集客力はフランチャイズ本部が長年にわたって蓄積してきた経験と実績に基づくものです。
看板をつけたことによる良い変化を、「売り上げの数パーセントを支払う」ということによって、フランチャイズ本部に還元する仕組みがロイヤリティとも言えます。
マーケティングで使う「ロイヤルティ」
先程記述した通り、マーケティング業界では顧客からの信頼度やリピート率を表すことが多いです。
ロイヤルティが高い顧客は新商品を出すたびに購入してくれたり、熱心に口コミを書いてくれたりする確率が高いです。
そんな信頼度やリピート率が高い顧客をターゲットにしたマーケティング手法を「ロイヤルティマーケティング」と表すこともあります。
「ロイヤルティの高い顧客」とは?
マーケティングで使う際の「ロイヤルティの高い顧客」とは、そのサイトによくアクセスしてくれたり購入や問い合わせなどのコンバージョンが多い顧客のことを指します。
ロイヤルティの高い顧客をどんどん増やすことで全体のコンバージョンが上がることもあるでしょう。
フランチャイズの「ロイヤリティ」の種類3選
一口に「ロイヤリティ」と言っても、その種類はさまざまで算出方法も異なります。代表的なロイヤリティのルールを3つ見ていきましょう。
ロイヤリティの種類 1.売上歩合方式
最も一般的に使われているロイヤリティの種類が、売上歩合方式です。加盟店売上や数パーセントを、ロイヤリティとしてフランチャイズ本部に支払う方式です。
つまり、売上が少ない月はロイヤリティの金額もそれに応じて少なくなるので大きなデメリットはないように見えますが、売上が毎月同じであると仮定した場合、仕入額の変動によっては加盟者側の利益が増減する可能性もあります。売上と仕入れのバランスを想定して検討する必要がありそうです。
ロイヤリティのパーセンテージは業種によって異なり、数パーセント〜50パーセント程度までさまざまです。売上高が大きくなるにつれて、ロイヤリティのパーセンテージが低くなる形式のフランチャイズ本部もあります。
ロイヤリティの種類 2.定額方式
ロイヤリティの中で最もシンプルで分かりやすい方式なのが、定額方式です。どんなに売上があっても、毎月納めるロイヤリティが一定金額である方式です。
定額方式は売上が上がれば上がるほど、自分の手元に残る金額が増えるメリットがある反面、売上が少ない場合は利益が減り、ロイヤリティの支払いが負担になってしまうリスクもあります。
しかし、ロイヤリティの支払額が毎月変わらないので資産管理しやすく、営業努力や企業努力などの取り組みがストレートに反映されるのが大きなメリットです。
ロイヤリティの設定金額はフランチャイズ本部によって違いますが、1ヵ月あたり数万円〜10万円程度の本部が多いでしょう。
ロイヤリティの種類 3.粗利分配方式
こちらは多くのコンビニチェーンで取り入れられている方式です。粗利分配方式は売上総利益(総売上高-売上原価)に対して、ロイヤリティの計算が行われます。ロイヤリティ率は、約30〜70%で、売上高に応じた変動も細かく設定されています。
粗利分配方式は営業によって残った利益をフランチャイズ本部と加盟店で分け合うようなシステムです。コンビニは最もフランチャイズパッケージが洗練されている業態です。
ロイヤリティとして本部にわたった資金は、コンビニの商品開発・広告宣伝・フランチャイズシステムの改善などに使われ、各加盟店への集客・客単価の向上・運営効率の向上に寄与しています。
コンビニフランチャイズをチェックする
フランチャイズで開業する前にロイヤリティをチェック
ロイヤリティはすぐ金額の大小に目が向いてしまいますが、それだけでフランチャイズを選ぶのは非常にもったいないです。ロイヤリティが高くても、加盟店の経営サポートが他のフランチャイズ本部より充実している・設備の支給があるなど、別の面でメリットがある場合もあるからです。
たとえば「SVによる経営サポート」「商品開発」「マーケティング」など、開業後のサポートの充実度がロイヤリティの金額に影響することがあります。「ロイヤリティ」と「受けられるサポートの内容」のバランスは事前にチェックするポイントの1つでしょう。
また、ロイヤリティの相場を確認することも大切です。ロイヤリティは業種・業態に応じて相場があるので、ロイヤリティ以外の本部情報も加味して自分の納得するロイヤリティの設定をしている本部を見つけることをおすすめします。
適切なロイヤリティの金額っていくら?
ロイヤリティの金額は先述した通り0円のところもあれば2万円や3万円としっかり金額が決まっていたり、売り上げや利益の何%であると決めているところもあります。
ですがロイヤリティはどのくらいの金額が適切なのか、と言うのは一概に言えません。
「このブランドの集客力ならこのくらいのロイヤリティを払っても良い」と思えるかどうかが重要です。
また、ロイヤリティ以外のお金の流れにも注目してみましょう。フランチャイズ本部は、フランチャイズパッケージを改良し続けながら店舗数を拡大していくために、最適な経営状態となるよう、加盟金・ロイヤリティ・仕入れ価格などを設定しています。
そのため「仕入れ価格が高いがロイヤリティが低い」「加盟金は高いがその後の本部への支払いは少なくて済む」など、様々なケースがあります。
フランチャイズ本部と加盟店の間で起こるお金の流れ全体を見て、すべてのお金の流れに納得感を持つことが失敗しないフランチャイズ選びを実現し、本部との関係性を良いものにするために大切なことです。
フランチャイズにおけるロイヤリティは加盟者にとってデメリットではなく、開業後も本部からのサポートを継続的に受けられ、安定した経営を続けるためにとても重要な費用だと考えておきましょう。
自分の納得の行くロイヤリティの金額なのかどうか、担当者に内容を直接聞いてみるのもおすすめです。
なぜロイヤリティがあるの?
フランチャイズのロイヤリティは、フランチャイズ本部がフランチャイズを出店してもらうための手数料として存在しています。
ブランド名を貸して開業しやすくする代わりに手数料をもらい、サポートの人件費や本部の向上に活かすのです。
ロイヤリティがないと無料でブランド名を貸すことになってしまい、フランチャイズ本部は知名度さえ上がるものの赤字になってしまいますよね。
フランチャイズという契約方法を公平に保つためにもロイヤリティは存在しています。
フランチャイズ業種別!ロイヤリティの相場・適正価格
それではロイヤリティの相場の例をご紹介します。
ロイヤリティの相場 1.飲食業
飲食業のロイヤリティの相場は、3%〜10%程度です。人件費・材料費などのコストがかかり、原価率の高いビジネスのため、ロイヤリティは低く抑えられています。
ロイヤリティの相場 2.学習塾
学習塾系のフランチャイズではロイヤリティが10%~30%程度と、飲食業よりも高く設定されています。材料費がなく原価があまりかからないビジネスのため、飲食業に比べ高いロイヤリティとなっています。
ロイヤリティの相場 3.ハウスクリーニング
ハウスクリーニングのロイヤリティは4~8万円程で、定額方式が多い傾向にあります。金額の差には研修内容の充実や集客に関してのサポートなどが大いに関係してくるので、特に技術が必要なハウスクリーニングはロイヤリティ以外の情報も確認した方が良いでしょう。
ロイヤリティが0円のフランチャイズはあるの?
実はフランチャイズの中にはロイヤリティを設定していないケースもあります。しかし、フランチャイズ本部にとってロイヤリティは収益源の1つですので、ロイヤリティ以外の部分で収益を得ていると考えられます。例えば、研修費や広告費、飲食業ですと材料費などにロイヤリティ分が含まれている場合があります。
それぞれの相場はあるものの、「そのロイヤリティの金額に納得して払い続けていけるか?」という点を自分で判断することが、後悔しないフランチャイズ選びには重要です。
ロイヤリティについてまとめ
今回紹介した通り、加盟するフランチャイズの業種や各本部によって、ロイヤリティの金額や算出方法が変わってきます。
ブランド力とノウハウを活用させてもらう対価として、「そのロイヤリティを支払い続けられるのか?」という点を軸に、情報収集や比較検討を行いましょう。
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公開日:2022年06月25日