介護のフランチャイズを始めるのに必要な準備
最終更新日:2024年09月20日
介護・福祉サービスの需要は年々伸び続けており、今後さらに高まると予想されています。
フランチャイズ業界においても多くの企業・団体が加盟会員を募集しており、経営をお考えの方はどの本部を選ぶのかが非常に重要です。
そこで今回は、フランチャイズでの介護事業について、開業にかかる費用の目安やメリット・デメリット、必要な準備などさまざまな情報をまとめました。
実際にフランチャイズ開業できる会社も紹介します!
目次
介護フランチャイズの費用
介護施設は開設のための基準が多く、事業の内容によっては他のフランチャイズ事業よりもやや複雑かつ費用が高めになります。
まずは介護のフランチャイズでかかる初期費用と運営資金について解説していきますので、目安として参考にしてみてください。
開業資金(初期費用)
初期費用の目安は、提供するサービスによって変わります。
一番資金が少ないのは訪問介護ですが、必要となる資金の目安は200~400万円が相場とされています。
大きな負担は事務所の準備や車椅子、事業用の車両です。
トイレ設備を整える必要があるため、物件についていない場合は改装が必要となります。
デイサービスの場合は、上記にプラスして内装工事や器具の設置が必要となります。
合計で約1,000~2,000万円が相場と言えるでしょう。
もちろんすべて自己資金というのも難しいので、日本政策金融公庫から融資を受けるのが一般的です。
運営資金
介護事業を軌道に乗せるまでには半年間程度は資金の確保が必要です。
比較的経費のかからない訪問介護でも平均1,000万円程度、デイサービスのような通所介護施設であれば2,000万円以上の資金は用意しておくと良いでしょう。
また、フランチャイズ本部に支払うロイヤリティは、売り上げの5~10%あるいは月々10~20万円の固定にて設定されていることが多いです。
介護事業は他のフランチャイズよりも人件費率が高いため、事業規模に応じた適切な人員配置が目指せるように工夫して取り組みましょう。
介護フランチャイズの開業・運営に必要な資金について詳しく見る
介護フランチャイズの特徴
次に、介護フランチャイズの特徴として、サービス内容やメリット・デメリットについて解説していきます。
サービス内容
介護事業にはデイサービスやショートステイ、訪問介護など多様な業態があり、フランチャイズでもさまざまな企業・団体がオーナーを募集しています。
なかには介護タクシーや訪問マッサージなど未経験者が参入しやすい事業もあり、介護事業でのフランチャイズをお考えの方は、どの業態を選択するかも重要です。
また、業態によっても異なりますが、オーナーの取り組むべき仕事内容は経営戦略や人材採用・育成、利用者の確保に向けた営業など多岐に渡ります。
介護保険は制度改正が行われることもあるため、随時情報をキャッチアップできる体制を整える必要もあるでしょう。
メリット
今後のニーズ拡大が見込める介護フランチャイズですが、もちろんメリットばかりではありません。
どの事業に参入するかを決める際には、各事業のメリット・デメリットを確実に確認するよことが大切です。
まずは、介護フランチャイズのメリットを紹介します。
安定した成長市場である
冒頭でも触れましたが、介護事業の市場規模は年々拡大しています。
保険給付費においては2025年に約20兆円にもなると予測されていますので、その規模の大きさは理解できるでしょう。
現在、日本国内では多くのマーケットにおいて需要が縮小傾向にありますが、安定して拡大しているのがこの業界です。
事業者の目で見たときに、非常に期待が大きい市場と言えます。
国のバックアップが受けられる
ほかの事業との一番の違いは、国のバックアップが受けられることです。
事業報酬の90%は国民健康保険団体連合会から支払われますが、一般的な事業ではこのような体制は望めません。
もちろんサービスを提供するためには、都道府県または市区町村から指定を受ける必要がありますので、そこは認識が必要です。
また、地域社会への貢献度も非常に高く、新しく事業を始める者としてやりがいと期待度が大きいのも魅力の1つです。
フランチャイズなら少ない資金でスピーディに開業できる
たとえ成長市場であっても、業界知識がまったくない状態で簡単に参入できるわけではありません。
ですがフランチャイズを利用することで経営・運営ノウハウを得られるため、スピーディに事業をスタートさせることができます。
また、訪問型であれば新たに施設を建設する必要がなく、少ない資金でも開業が可能です。
資金集めの面から鑑みても、迅速な開業を実現しやすい事業だと言えます。
未経験でも参入しやすい
法律の知識が必要となる介護事業ですが、フランチャイズであれば研修を通して専門的な知識を得ることができます。
経営ノウハウやトラブル発生時の対処法を学べるだけでなく、煩雑な書類関係の処理についてもサポートが行われるため、介護未経験の方や他業種の方でも参入しやすいのが大きなメリットです。
また、フランチャイズの場合は開業後も利用者獲得のバックアップやサポートを受けられるため、安心して経営を進められます。
法の改正が生じても本部に対応を確認できるため、オーナー側は経営戦略に専念しやすいでしょう。
デメリット
では、デメリットとしてはどういったものがあるのでしょうか。
こちらでは「人材確保」「資金運用」の2点について解説します。
人材確保が難しい
まず挙げられるデメリットは、人材の確保が難しい点です。
今の日本は、これからますます増えていくであろう要介護者に対して介護職員の人数が足りていないという現実があります。
また、介護報酬(国から事業者に支払われる報酬)が毎年のように改定されており、それにともなった報酬の支払いが必須です。
賃金面だけでなく就業環境や介護職員のモチベーション管理も含め、人材確保に向けて働きかける必要があるでしょう。
利益を得る前に資金が尽きる可能性がある
介護事業の特徴の1つに、サービスを行ってから2ヶ月後に報酬が入金されるというシステムがあります。
つまり、すぐに運営資金が増えるわけではないため、その期間の運営資金はあらかじめ用意しておく必要があります。
事業計画を立てる際には、介護事業ならではのシステムに則った計画が求められるでしょう。
成功・失敗のポイント
介護事業におけるフランチャイズ展開を成功させるためには、人材の採用や育成が課題となります。
こちらでは人手不足を解消するためのポイントをいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
従業員の業務体制を適切に管理する
介護現場で人手不足が起こる原因として、賃金に見合わない過酷な労働環境を従業員に強いていることが考えられます。
これに対して成功している介護施設は、負担が必要以上にかからないようタイムスケジュールと業務内容をきちんと管理しています。
例えばシフト1つ取っても、スタッフの生活に問題が出ないよう、常に割り振りをチェックする体制が敷かれています。
また、ライフスタイルは結婚や出産、家族の介護などでさまざまな変化が起こります。
そうした状況を考慮せずに放置すると、知らぬ間に大きな負担を抱えさせてしまうことになるため、まずはスタッフの声をきちんと聴くこと、状況に応じた対応をすることで離職を防ぐことができるでしょう。
働きやすい職場環境づくりを心がける
離職防止には、業務マニュアルを常に見直して現場を働きやすい環境に近づけることも大切です。
例えば労働の負担を減らす機器や用品は積極的に購入し、仕事効率を上げる工夫を行うことで従業員のモチベーションアップにもつなげられます。
オーナー側も定期的に施設に顔を出し、現場の意見を取り入れる姿勢を見せるようにすると良いでしょう。
また、従業員とコミュニケーションを取り、問題が起きても即時解決できる信頼関係が構築できるように取り組むことも重要なポイントです。
助成金を利用する
介護事業の場合、国や地方自治体が人手不足の解消に向けてさまざまな助成金を用意しています。
例えば人材確保等支援助成金を利用すると、介護福祉機器の導入にかかった費用の20~35%が支給されます。
また、評価制度や研修制度の改善などに取り組むことで得られる助成金もあります。
ただし、助成金は年度ごとに情報が更新されることも多いので、自身が利用できるものがあるかどうかをフランチャイズ本部に相談してみるのも良いでしょう。
護フランチャイズを始めるときの準備
介護フランチャイズを始めるときの準備は、業態によって大きく異なります。
こちらでは店舗や雇用、資格など事前に知っておきたい準備について紹介しますので、参考にしてみてください。
店舗
介護フランチャイズの場合、利用者が訪問する施設を作るのか、自分たちが利用者のもとに訪問するのかによって店舗の規模が変わってきます。
前者であれば物件の取得から内装工事、リハビリ機器の設置などが必要となるため、時間・予算面から見ても大規模になりがちです。
一方、後者は基本的に事務所を用意すればよいだけなので、条件を満たせば自宅で開設することも可能です。
また、高齢者が少ないなどニーズの見込めない地域で開業してしまうと、廃業のリスクは大きくなってしまいます。
どのエリアが良いのか決まっていない方は、開業エリアについてもフランチャイズ本部に相談しながら進めることが望ましいでしょう。
採用・教育
介護事業では必ず「サービス提供責任者」を設置しなくてはいけません。
サービス提供責任者とは介護福祉士の資格をもつ方や初任者研修および3年以上の実務経験がある方など一定以上の規定を満たしている方のことで、最低1名は在籍している必要があります。
そのため、開業時に1名だけしか採用しなかった場合には、その人が離職した際に事業の継続が難しくなります。
有資格者を数名採用する、オーナーも資格を取得するなど、急な事態にも対応できる体制を整えることが大切です。
資格・免許
介護事業のフランチャイズにおいて、オーナー自体には資格を求めていないところも多いです。
フランチャイズ本部によっては、開業に必要な基準を満たす有資格者を紹介しているところもあるので、そちらを利用すれば安心して準備を進められるでしょう。
ただし、個人での開業が可能な介護タクシーなどの事業においては「普通自動車二種免許」や「介護職員初任者研修」が必要な場合もあります。
資格や免許は希望とする業態に応じて確認し、漏れのないように手続きを進めていきましょう。
介護フランチャイズ本部選びのポイント
ここからは介護フランチャイズ本部選びのポイントを3つ紹介します。
ビジネスモデルが適しているか
介護事業には訪問介護やデイサービスなど多様な種類があり、食事や入浴などのサービス有無・利用者の性質もさまざまです。
市場のニーズがあるのか、従業員の負担とのバランスは取りやすいか…など、複数の観点を踏まえてビジネスモデルの決定をし、そこからフランチャイズ本部を選択する必要があるでしょう。
十分なサポートが得られるか
法律や市場ニーズを基にした事業展開が必須の介護事業において、フランチャイズ本部からのサポートは不可欠です。
開業前には商圏調査・物件選定、販促ツールの作成サポートなど。
開業後であれば定期的な相談会や本部スーパーバイザーによる指導・従業員の研修などのサポートを利用することで、事業継続に向けて様々な施策を打ち出すことができます。
また、本部によっては施設で利用できる独自のプログラムを提供しているところもあります。
業態によってもそのサポート体制は様々なので、細かい内容まで含めて確認するようにしましょう。
信頼できるかどうか
フランチャイズ本部を選ぶ際には、本部に対して信頼できるかどうかも判断材料になります。
特に施設数は信頼に直結しやすい部分であり、例えば大都市だけではなく地方でも開業できるのか、実績に基づいたアドバイスを行っているかなどを確認することが大切です。
もちろん日頃の対応やそのスピード感も重要なものさしとなるため、必ず複数の本部を比較するようにしてください。
おすすめのフランチャイズ
だんらんの家
だんらんの家は、全事業所の黒字化を目標にしているフランチャイズ本部です。
加盟店へのサポートの質を保つためにも、全国100社・300店舗までと限定した運営を行っており、そのサポートは無料研修や数値管理、マネジメントなど多岐に渡ります。
さらに開業費用を徹底的に抑えていることも魅力の1つで、設備や備品などは低コストでの調達を実現。
その甲斐もあって1日9~10名の利用者の確保をすれば、80~100万円の月間利益を達成することもできます。
また、入居者にも手厚い看護サービスを実施するために、定員10名に対して従業員3名にて運営を行うように体制を整えています。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションは、その名の通り訪問看護を行っているフランチャイズ本部です。
訪問看護は子どもから障害のある方、高齢者までを広くカバー。
競合が少なく参入メリットの大きい「訪問看護」をフランチャイズ展開することで、安定した利益追求を目指します。
また本部からのフォローも手厚く、現場の看護師の声を活かしたサポート体制を実現していることも特徴の1つ。
採用サポートや開業前の研修制度なども充実しており、人材確保に関して問題なく進められるのもうれしいポイントです。
日本訪問マッサージ協会
日本訪問マッサージ協会は開業支援に特化したビジネスを行っている事業者です。
加盟金やロイヤリティは不要であり、厳密に言うとフランチャイズではありませんが訪問医療マッサージの開業サポートを行っています。
こちらは資格保持者を1人雇用すればオーナーとして開業でき、資金50万円以下で事業を展開することが可能です。
過去には3,000院以上の開業をサポートしてきた実績もあり、ノウハウも多数保有。
自宅でマッサージを受けたい高齢者のニーズを満たすことで、継続的な収益が見込める事業です。
公開日:2019年10月04日