ラーメンの原価率は〇%が基本!計算方法や内訳、抑えるコツなど
最終更新日:2024年09月20日
ラーメンは季節や老若男女問わず人気のある食べ物。
同時に、飲食店経営のなかでも人気の高いビジネスです。
ラーメン屋を開業する人の中には「ラーメンが大好きだから、美味しいものを作って儲ける自信がある」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、ビジネスである以上、美味しいラーメンを作る以外にも考えるべきことはたくさんあります。
そこで今回は、ラーメン屋の経営に必要不可欠な原価率について詳しくご紹介します。ラーメン屋を成功させるための経営のコツについてもお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ラーメン屋って儲かるの?
原価率の話の前に、「そもそもラーメン屋って儲かるの?」というよくある疑問にお答えしていきます。
結論から言うと、ラーメン屋を開業して儲かるか儲からないかは事業主次第です。
というのも、ラーメン屋の開業方法や店舗の規模、立地、メニュー、経営方法などさまざまな要素によって利益を残していけるかどうかが決まるから。売上だけでなく、「どれぐらいの売上でどれぐらいの利益が残るのか」という計算もしながら経営をしなくてはいけません。
そのなかでも儲かるラーメン屋にするために特に大事な「原価率」について、詳しく学んでいきましょう。
ラーメンの原価率の出し方・計算方法
一般的な飲食店の原価率は25~30%と言われており、ラーメン屋においては原価率の平均は30~35%くらいです。
その原価率の出し方は、以下の式に当てはめて計算します。
原価率=仕入れ原価÷売上高×100
たとえば、一杯750円のラーメンを30%の原価率で収めたい場合は、仕入れ金額を225円にしなくてはいけません。
これは、一杯750円の美味しいラーメンを225円で作らなくてはいけないという意味でもあります。
もちろん、もっと原価を下げようと思えば下げられるかもしれませんが、そこはやはり商品のクオリティと原価とのバランスが大切です。
また、スープ一つにしても「醤油」「とんこつ」「味噌」などの種類によって原価に違いがあります。
さらに、近隣の競合店がどれくらいの価格帯で提供しているかも調査する必要があるでしょう。
その辺りも踏まえて、原価率と販売価格のバランスをとっていかなくてはいけないのです。
ラーメンの原価の考え方
では、ラーメンの原価はどのように考えていけば良いのでしょうか。
考え方を詳しくご紹介します。
ラーメン1杯の原価は「タレ+スープ」「麺」「具材」で決まる
ラーメン1杯の原価は、ラーメンが構成されている「タレ+スープ」「麺」「具材」の3つの材料の合計で決まります。
スープのベースとなる「タレ」は、醤油やみりん、砂糖などが使用されており、ラーメン杯あたりの原価は10~15円程度。鶏ガラや豚の骨、野菜などの食材から出汁を取る「スープ」は醤油、塩、とんこつ、味噌の4種類あり、それぞれの原価は以下のようになります。
スープの種類 | 原価 |
---|---|
醤油 | 約50円 |
塩 | 約50円 |
とんこつ | 約100円 |
味噌 | 約120円 |
醤油よりとんこつ、とんこつより味噌のほうがラーメン1杯あたりに必要なスープの量が多いため、原価も高い傾向にあります。
「麺」に関しては、茹でる前の重さ100gで原価は約40円と言われています。1杯あたり150g程度で提供しているケースが多いため、これを基準に計算すると原価は約60円。有名な製麺所から仕入れる場合はこれより原価は高くなります。
また、とんこつラーメンに関しては1杯あたり120g程度と麺の量が少な目であることが多いので、50円くらいの原価に抑えることも可能です。
最後は「具材」について。
それぞれのラーメンで使用される主な具材は、以下の通りです。
ラーメンの種類 | 主な具材 | 原価 |
---|---|---|
醤油ラーメン | ・ネギ ・メンマ ・チャーシュー ・ナルト ・煮卵 ・のり など |
約65円 |
塩ラーメン | ・ネギ ・メンマ ・チャーシュー ・ナルト ・煮卵 ・のり など |
約65円 |
とんこつラーメン | ・ネギ ・メンマ ・チャーシュー ・きくらげ ・ゴマ など |
約55円 |
味噌ラーメン | ・もやし ・キャベツ ・チャーシュー など |
約80円 |
具材のなかでも原価が高いのが、チャーシュー。お肉の種類や国産・輸入肉のどちらを使うかなどによって原価は大きく変わります。
ラーメン1杯の原価の目安は185~270円
それぞれの材料を合計すると、ラーメン1杯の原価は185~270円。ラーメン屋の原価率は30~35%くらいが適切だと言われているので、そこから販売価格を計算してみると以下のようになります。
ラーメンの種類 | 原価 | 販売価格(原価率30%) | 販売価格(原価率35%) |
---|---|---|---|
醤油ラーメン | 約185円 | 約620円 | 約530円 |
塩ラーメン | 約185円 | 約620円 | 約530円 |
とんこつラーメン | 約215円 | 約720円 | 約620円 |
味噌ラーメン | 約270円 | 約900円 | 約770円 |
どこまでこだわるかにもよりますが、ラーメン1杯の量を増やしたり材料の質を上げたりする分だけ原価も高くなるので、それに合わせて適正な販売価格を決めていく必要があります。
ラーメンの原価率を抑えるコツ
食材の量を少なくしたり、質を落とせばラーメンの原価率は簡単に下げることができます。ただし、それはお店の評判を落とす原因になりかねないので安易にしてはいけません。
ラーメン屋で原価率を抑える以下の4つのコツを押さえて、上手にコントロールしていきましょう。
- メニュー全体で原価率を考える
- 食材ロスを減らす
- オーバーポーションをしない
- 仕入れ価格を下げる
一つずつ解説していきます。
メニュー全体で原価率を考える
ラーメン屋の原価率は30~35%であっても、全てのメニューにその数字を当てはめる必要はありません。
最終的に原価率は月ごとの売上と原価から導くもの。
仮にラーメンの原価率が35%を超えていたとしても、ドリンクで大きく抑えられていれば結果的に原価率が下がるということも珍しくないのです。
また、全てのメニューに30~35%の原価率を当てはめてしまうと、自店の強みを消すことにもつながってしまいます。
自店の看板メニューにはこだわりを持ち、競合店との差をつけたいところです。そうなると、食材へのこだわりも必要になってくるので、その分だけ原価は上がってしまいます。
看板メニューの原価率が40%であっても、その他のレギュラーメニューで5%分の調整を行うなど、一つひとつの商品ではなくトータルで原価率は考えるべきなのです。
食材ロスを減らす
ラーメンの原価率を抑えるには、食材ロスを減らす取り組みも必要です。
食材ロスの主な原因は「発注のしすぎ」や「仕込みすぎ」などが当てはまります。
売上から予測して適正な発注、仕込みを行わないと食材ロスは減りません。
また、食材の先入れ先出し(※)の徹底も必要です。
せっかく仕入れたのに使わずに破棄することになり、それによって食材が足りないとなれば、本来しなくてもいいはずだった仕入れを行うことにもなるでしょう。
ほかにも、特定のメニューでしか使わない食材もロスにつながりやすいため、注文数が少なければメニューからなくすなどの工夫もできます。
このように無駄のない食材管理を行うことが、原価率の増加を防ぐコツなのです。
(※)…先に仕入れた食材から順番に使うことで劣化を防ぐ管理方法
オーバーポーションをしない
オーバーポーションとは、あらかじめ決めていた量よりも多く盛り付けをすることです。
ラーメンの原価率を上げる原因になるだけでなく、日によってラーメンの量やトッピングの量が違うとお店の評判を落とすことにもつながりかねません。
お客さんが喜んでくれるからとオーバーポーションをサービスだと勘違いしている方も多いようですが、決まった量でラーメンを提供しなければ予定していた利益も出せなくなるので要注意です。
メニューごとに量を決め、それをしっかり守っていくよう徹底しましょう。
仕入れ原価を下げる
仕入れ原価を下げることも、ラーメンの原価率を抑えるポイント。
仕入れ業者と直接交渉する、大量に仕入れることで原価を下げてもらう、仕入れ業者を変更する、生産者から直接仕入れるなどの方法があります。
ただし、仕入れ原価を下げることだけを重視してしまうと、質の悪い食材を仕入れてしまう危険性もあります。結果、味が落ちてお客さんが離れてしまうと意味がありません。
なによりも一番、ラーメンの品質を保つことを忘れないことが大事です。
原価だけじゃない!知っておきたいラーメン屋の経費
ラーメン屋の経営にはほかにもさまざまな経費が発生し、それらをしっかりコントロールしていく必要があります。
ラーメン屋の経費は主に原材料と人件費、家賃、水道光熱費、広告宣伝費などが挙げられ、それぞれの割合は以下のようになります。
項目 | 割合 |
---|---|
原材料(原価率) | 30~35% |
人件費 | 20~30% |
家賃 | 6~10% |
水道光熱費 | 5〜6% |
広告宣伝費 | 2% |
その他 | 5% |
売上からこれらの経費を差し引いた分がお店の利益となります。
特に大きいのが原材料(原価率)と人件費の割合で、合わせて60%程度に抑えると良いと言われています。ですが、どのようなラーメンを提供するのか、どのくらいの規模で開業するのか、どこで開業するのかなど、さまざまな条件によって毎月必要な経費の金額も大きく変わるので、どのくらいの売上を達成すれば利益を残せていけるのかをしっかりシミュレーションしておきましょう。
ラーメン屋経営のコツ
ここでは、ラーメン屋を経営するコツをお伝えしていきます。
お店の繁栄には欠かせないものですので、しっかり覚えておきましょう。
ラーメン屋の経営のコツは、以下の4つです。
- FLで考える
- 回転率を上げる
- 単価を上げる
- 売上シミュレーションの徹底
一つずつ解説していきます。
FL(売上に対する原価と人件費の割合)で考える
ラーメン屋の経営を行う上で、利益のものさしになるものの一つがFLコストです。
FLコストというのは、フードコスト(FOOD)とレイバーコスト(LABOR)頭文字をそれぞれ取ったものです。
フードコストは原価、レイバーコストは人件費を意味し、この二つのコストが経営を大きく左右すると言われています。
ラーメン屋のFLコストの目安はそれぞれで30%ずつ、合計で60%程度です。無駄のない人員配置や、原価を抑えるところは抑える工夫が必要となってきます。
回転率を上げる
FLを考えた上で席の回転率を上げることも必要です。
回転率は1日の来店数÷客席数で求められます。
たとえば、10席のお店で来店が100名あった場合は10回転です。
この回転率は売上に大きく影響してくるもので、満席時の回転率が低ければ低いほど売り逃しが発生していると考えられます。
特にランチタイムのような食事の時間が限られている場合は、他のラーメン屋に行ってしまうことも十分に考えられます。
もちろん、食事中の顧客を急かすわけにはいかないので、回転率を上げるには店舗側の努力が必要です。
つまり、早く商品を提供しなくてはいけないということ。
そのためには、仕込みの方法やスタッフの配置など、実践的なオペレーションが問われる場面も多いでしょう。
客単価を上げる
客単価を上げることが、原価率を下げて利益を残していく方法として一番簡単なものです。
「元々の販売価格を上げる」や「サイドメニューをおすすめする」など客単価を上げる方法はたくさんありますが、簡単にできる反面、これには注意が必要です。
たとえば、ある日を境にいきなり値上げをした場合、クレームのもとになるケースも。
さらに、サイドメニューのおすすめであってもその顧客の状況やスタッフの接客の良し悪しで決まってしまう場合もあります。
客単価を上げることばかり考えていると、反対に顧客離れを生み出してしまうこともあるのです。
売上シミュレーションの徹底
売上シミュレーションを徹底することも、ラーメン屋を成功させるためのコツの一つ。
ラーメンの原価やその他の経費、回転率、客単価などを総合的に考え、現実的な売上シミュレーションを行うことが大事です。
また、大まかな売上シミュレーションでは実際に経営してみた際に想定とのギャップが生まれやすくなります。適正な仕入れにもつながる大事な部分なので、より正確にシミュレーションを行うことを心がけましょう。
儲かるラーメン屋を開業するにはフランチャイズが有利
ここまで読んでいただいて「もしかしたら自分にはラーメン屋の開業は難しいかもしれない」と思った方もいるかもしれません。
元々ラーメン屋は脱サラから開業に踏み切る方が多い業界。
その中には飲食業の経験もなくラーメン屋の経験がない方も多数います。そうなると、同業他社と競っていくのは何かと不安なものです。
しかし、経験がなくても成功する方法として、フランチャイズを利用した開業があります。
フランチャイズでのラーメン屋の開業には、
- フランチャイズ本部のブランド力を活用した経営ができる
- 成功事例に基づいたノウハウ・技術を提供してもらえる
- 効率的なオペレーションによる負担軽減が期待できる
- 仕入れ原価を抑えやすい
- サポートを受けながら経営できる
などのメリットがあります。
フランチャイズ本部の知名度が高ければ高いほど、個人で事業を始めるよりもグッと集客はしやすくなります。ノウハウが確立されているので、成功できる方法で経営していけます。
また、フランチャイズ本部のスケールメリットを活かした一括仕入れによって、ラーメン1杯の原価率を下げることも可能。サポートも充実してるので、開業前の研修や開業後のアフターフォローについても不安はありません。
個人で挑戦するのも素晴らしいことですが、フランチャイズでの開業も検討してみてはいかがでしょうか。
ラーメンの原価率についてまとめ
ラーメンの原価率についてまとめると、以下のようになります。
- ラーメンの原価率は30~35%が目安
- 原価率は、「仕入れ原価÷売上高×100」の計算方法で出せる
- ラーメン1杯の原価は「タレ+スープ」「麺」「具材」の材料3つで決まる
ラーメン屋は開業のしやすさとは反対に、シビアな原価管理が求められます。
美味しいラーメンをいかに早く提供して、顧客の満足度と数字の管理を両立させるかはラーメン屋の大きな課題なのです。
ラーメン屋の開業に興味をお持ちの方は、今回ご紹介した以下のラーメンの原価率を抑えるコツも参考にしてみてください。
- メニュー全体で原価率を考える
- 食材ロスを減らす
- オーバーポーションをしない
- 仕入れ価格を下げる
一生でそう何度も経験することのない起業。
できれば失敗のリスクは小さくしておきたいものです。
この記事を参考に、フランチャイズでのラーメン屋開業も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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公開日:2022年04月25日